採用内定を取り消された

採用内定を取り消された

採用内定を取り消された

ある会社に採用が内定していましたが、突然採用内定を取り消されてしまいました。どのように対応すれば良いのでしょうか?

わが国の企業では、大学卒業予定者などの就職応募に対して、在学中に採用内定の通知を出し優秀な人材を確保するのが一般的となっています。企業から採用内定の通知を受けたものを採用内定者といいますが、法律的には採用予定者と採用決定者の二種類に区分されます。

 

採用予定者とは、本人がたんに企業から採用予定の通知を受けている段階に止まる者で、まだ本人と企業との間では、労働契約が成立しておらず、企業からの正式な採用決定手続があって初めて労働契約が成立することになります。

 

また採用決定者とは、本人と企業との間に労働契約が成立している者をいいますが、在学中の学生の場合は、無事卒業することや卒業までに不適格事項に該当しないことを条件に、入社日がきた場合に労働契約の効力が発生し、従業員の地位を取得することになります。

 

ではどの段階で労働契約が成立したとみなされるかは、わが国の採用内定の実態が多様であるため、見解が分かれていますが、一般的には、企業が採用内定の通知を出し、本人が入社する旨の誓約書を提出するなど内定の承諾があったときには、労働契約が成立したと解されています。

 

採用内定についての判例は、「採用内定通知により、就労の開始を学校卒業後とし誓約書記載の事由にもとづく解約権を留保した労働契約が成立したもの」としています。したがって、その取り消しには制限があり内定通知書や誓約書記載の取り消し事由に該当しても、そのすべてが認められることにはなりません。

 

まず確認することは、(1)会社が、内定通知をしているか。(2)あなたは、会社に誓約書などの文書を提出したか。(3)取り消しの連絡に、取り消し事由が示されているかを調べて下さい。取り消しが正当と認められる事由としては、次のようなものがあります。
・本人の提出書類や応募内容に重大な虚偽があった場合
・本人が学校を卒業できなかったり、就労できない健康状態になった場合
・本人に犯罪行為を犯すなどの行為があった場合
・天災、火災等の突発事故の発生により企業の採用環境に著しい変化があった場合などで内定の評価に質的な変更を生じた場合に限られるべきとされています。また、経営悪化を事由にする取り消しは、それを予測しなかった会社にも責任があるとされていますので、一律には認められていません。

 

判例は、「内定当時知ることができず、また知ることが期待できない事実で、これを理由に内定を取り消すことが社会通念上相当と認められるものに限られる」としています。 したがって、あなたが採用決定者に該当し、会社と労働契約が成立しているとするならば、会社からの内定取消は解雇に該当します。

 

今後対応としては、次のようなことが考えられます。
1.内定取り消しの事由について、具体的説明と文書での回答を求める。
2.就労(契約の履行)を求める。またはやむ得ず取り消しを承認する場合には、その代償措置について会社と交渉する。
3.2の交渉において、会社が契約を履行せず、会社側の態度に誠意がない場合は、法的手続きとして仮処分申請(地位保全・賃金仮払い)や損害賠償請求をする。

 

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